自治体や医師会からの依頼に基づき、地域包括ケアシステムの構築支援事業を行います。
昨今、地域医療構想が強く叫ばれ、法改正や地域医療総合確保基金の設立など様々な施策が打たれる中、その実現化に向けて、地方公共団体は結果を生み出すことを要求されています。
まずは地域包括ケア担当を設置し、医師会など三師会を通じて、地域連携会議等を行う自治体が大半ですが、そこには大きな課題が存在しています。
• 目標の不明瞭さ
中央官庁から「定義的な目標」は掲げられるものの、数値としての目標が分からない故、なにをどこまで執り行えばよいのかが不明瞭なままの自治体が大半を占めます。
まずは、人口動態や将来予測からデータ分析を行い、且つ、現在各自治体に存在している社会資源(医療機関等)や実績(看取り実績、在宅医療普及状況)と照らし合わせながら、その不足分について検証することが必要です。
ただし、実績と言っても、単に行政届出をしている医療機関の数を数えるのではなく、実際に社会資源として機能している実態としての状況を把握しなくては、市場調査自体が失敗に終わりますし、施策を打っても絵にかいた餅で終わります。まずは専門的知見からマクロデータ分析を行い、現状と将来を「数字」で示すことが重要になります。
• 解決策の曖昧さ
目標を数値で示すことが出来たとしても、現状の課題を分析し、その解決策を考えなければ実効策あるアクションを打つことはできません。具体的にどのようなアクションを行えば効果的に地域包括ケアが発展するのかも曖昧なものです。特に、「在宅専門診療所を何件作る」「看取り件数を何件達成する」等の定量的な結果は示しやすいものの、「他職種連携をシームレスにする」「自分らしい看取りを実現する」「ネグレクト患者を発見し適切な医療につなげる」「緩和ケアのスキルを向上させる」等の所謂定性的・ファジーな領域ほど、効果検証やベンチマーク設定をしづらく、当然、効果的な解決策を示すことも難しいという声が多くあります。特に、医師会も行政もこれらを構築する専門家ではないため、「中央官庁からの指示に基づいて行わざるを得ないが、一体何から手を付ければどのような解決につながるのか分からない」というが正直な点であり、この曖昧さを残したまま推進しても、ステークホルダー間の温度差が顕著に現れ、推進が途中で頓挫し、支出した予算が無駄に終わることも多くの自治体担当者の頭を悩ませています。
• ステークホルダーの目的・温度感のバラつき
地域包括ケアシステム構築に向けた解決策は、自治体自身が執り行えるものではなく、医療介護事業者の協力なくしては実行できないものです。
しかし一方で、病院や医師会、介護事業者をはじめとした民間のステークホルダーにも事業者として経営的責任があるため、既得権益をしっかりと堅持しつつ、既存の医療介護市場を歪めない形で推進しなくてはならない、又は地域包括ケアを推進したところで経営的メリットがないという思考が働くケースも多く、行政と民間の方向性が一致しないことは多々あります。
地域包括ケアシステム構築に成功する自治体の特徴
前述で紹介した問題はどの自治体でも存在する悩みの種であり、結局、自治体は医師会に予算を支払い、医師会は意欲のある理事のみが行動的になり、その行動が、課題分析に基づいた的確な解決策とは異なる行動がゆえに、結局大きな効果が得られずに、地域包括ケアシステム構築事業は、予算の垂れ流し、または途中頓挫し一気にスピードが落ちる等の結果となっています。
多くの自治体が同じ問題に当たっている中、これらを見事に解決する事例も存在します。
それらケースの共通点は、もちろん、
「課題を定量的に分析できている」
「分析結果から適切な解決策をプランニングできている」
「行政担当者は医師会に丸投げにせず、適切な担当者を内部又は外部から設置している」
「医師会側には、自身の既得権益や経済的利益ではなく、社会システム構築に向けて音頭を執れる優秀な医師が一人以上いる」
「各課題ごとにワーキンググループや分科会を設置し、グループごとに関係者が集い生産的な議論ができている」
「解決策実行に向けて、自治体が民間に適切な予算を提供し、またそのコミットは一担当部門にとどまらず、議員や部長クラスでコミットされている」
「全体を統括する“地域包括ケアシステム構築事業事務局”が設置され、その運営を、自治体または外部団体が専門的に運営している」
等の共通した成功要素を持ち合わせています。
当社では、過去の全国にある成功例を参考しながらも、各自治体の課題点を専門的視点から定量的定性的に分析し、行政や三師会等と連携しながら、独自の解決策を提供し、運営そのものの事務局として強力に推進サポートすることが可能です。
これまでの地域包括ケアシステム構築支援の豊富な実績に基づき、地方自治体・医師会様が抱える「実効性のあるシステム構築」に向けてハンズオンで支援を行います。
具体的には、実際に現地に頻回に赴き、現場の各担当者・各事業者・各種連絡会と調整を図りながらニーズや現状を把握し、マクロ―データを分析しながら、地域ごとの課題を抽出、仮説を考え、実効性のある解決策を提案致します。一般的なコンサルティング会社では、提案までが業務となりますが、当社では、実際に現場に入り込み、地域包括ケアシステム事務局を立ち上げ、協議会の運営や、各種ワーキンググループの運営、勉強会やセミナーの企画運営、成果の数値的な抽出、行政の年次計画の立案支援、市民公開講座の開催、大病院や介護事業者まで巻き込んだICTシステムの導入や、具体的症例にまで落とし込んだオペレーションの運営や事例報告会の開催など、本来現場で行うべき業務や、労務コストや企画力の問題で実行できない細かやな部分まで委託事業として実行致します。
区町村レベルから都道府県レベルまでの支援実績に基づき、医療介護連携のみならず、民生委員や社会福祉協議会、老人クラブ等まで巻き込んだ広域の地域包括ケアシステム構築も可能です。